1月19日 午前0時

時計の針がわずかに動き、夜光塗料を塗られたそれが、頂点を指してぴったりと重なった。
それと同時に、部屋のドアがゆっくりと開き、ひとつの影がするりと入ってきた。

ベッドからは玉緒の規則正しい寝息が聞こえてくる。
人影はそっと彼に近づくと、彼の身体を揺り動かした。

「玉緒さん……玉緒さん……?」
「ん……誰?……」
「私です。玉緒さん。」

寝ぼけた頭がゆっくりと記憶をたどり始める。
今、彼を『玉緒さん』と呼ぶのはたった一人しかいない。

「…………さん…?」
「はい。」

その声を聞いて、頭は急速に覚醒する。

「!! さん? な、なんでここに?」
「玉緒さん、お誕生日おめでとうございます。」
「えっ、あ、ああ。12時過ぎたのか。ありがとう……じゃなくて!いま夜中だよ! どうやってここに? 何しに来たの?」
「誕生日プレゼントを渡しに来たんです。」
「プレゼントって……」

暗闇に少しは目が慣れ始めていたが、玉緒の視力ではどうやら女性らしい人影があることしか認識できない。

「プレゼントは…私です。受け取ってください。」
「私……って、えっ???」

言うが早いかは玉緒に飛びついてきた。
思わず受け止めた玉緒の手のひらには、意外な感触が。

さん、君……あの……服は?」
「着てません。リボンは付けてますけど。」
「……リボン?」
「はい、ほら……。」

は自分の首元に玉緒の手を誘う。

「ほら……これを解いて……」
「う、うん…」
「私を……開いて……」

導かれるままにリボンの端をつかみ、そっと引くと、
緩い結び目は、簡単に解けていった…………。


   *   *   *   *   


PiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPi…………

けたたましいアラーム音が静寂を破った。

「!!!!!!」

飛び起きた玉緒は、あたりを見回す。

「ゆ、夢……?」

冬の朝の空気に冷やされた部屋には、いつもと変わらない光景が広がっている。

「僕は……なんて夢を……。」

自戒の念に苛まれながら、玉緒はのろのろと起き上がる。

「いくら誕生日だからって、そんなわけないよな……。 それにしたって、なんだか妙にリアルな夢だったな。感触が……本物、というかなんというか……。」

まだはっきりと残っているその感触を、玉緒は無理やり意識から剥がそうとした。

「だめだ……シャワーでも浴びてこないと……。」

玉緒はデスクに載せてある眼鏡を手探りでつかむと、大股で部屋を出て行った。



誰もいなくなった部屋の中。
ベッドと壁との隙間に、一本のリボンが落ちていた。





Fin


 



なんですかこれは。
誕生日SSとしてあるまじき作品ですな……。
そして間に合わなかったのですが……。

玉緒さん、お誕生日おめでとう!
全力で愛してる!


【業務連絡】どうやら中間部分はヒムロッチの検閲を受けた模様。
後日サルベージされるとかされないとか……。


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