占いカウントダウン


朝のニュース番組。
あわただしい時間なので、毎日ただTVを付けているだけで
ほとんど内容は見てはいないのだけれど、たったひとつ、
見逃せないコーナーがある。
占いコーナー。
全面的に信じているわけではもちろんないし、見なくたって
それほど生活に支障があるわけじゃないんだけど、なんとなく
見逃した日は落ち着かないから、どうしても見てしまう。

いつの頃からか忘れたけど、自分の星座のほかにもうひとつ
星座をチェックするようになった。氷室先生の、蠍座。
自分の運勢よりもその良し悪しに一喜一憂した。
特にラッキーパーソンが「年下の女性」なんて言われた日には
馬鹿みたいに喜んで、いつも以上に先生の近くにいた。
それが良かったのかどうなのか、卒業式の日に先生から
告白を受けて、私達はお付き合いすることになった。
二つの星座をチェックすることは、完全に私の習慣になった。

そして今日も、占いカウントダウンが始まった。
最近、二人とも運勢が低迷しているらしく、1位に登場することがない。
今日も1位は別の星座だった。まあ、あんまり良すぎても、なんて
負け惜しみを言ってみたりするけど、やっぱりちょっと悔しい感じ。

2位以下が発表される。前半6位までにもまだ出てこない。
良くあることとはいえ、なんだか朝から出鼻がくじかれるなあ、と思う。
一定のサイクルでうまく順位が入れ替わるようにはなっているんだろうけど
大事なことがある日にへこんじゃかなわないから、そういう日には
占いを見ないようにしよう、と思った。

7位。やっと私の星座が登場する。「目上の人の言うことは良く聞きましょう」って
零一さんのことかな、とちょっとおかしくなる。言われなくても一言だってもらさない
ように聞いてる。うわの空で聞くなんて、そんな恐ろしいことできない・・。

そして11位まで発表されても、まだ蠍座は出てきていない。まさか・・・。
アナウンサーが残念そうなトーンで伝える。
「今日、一番運勢の悪いのは、蠍座のあなたです・・・。」
うーん、そうなんだ。ちょっとかわいそうかも。

「今日のあなたは恋愛運に波乱の予感。恋人とは必ずコンタクトをとりましょう。
会うことができなくても電話だけでもして。そんなあなたのラッキーアクションは
夏物をしまうこと。落ち込んでいた運勢が回復するでしょう。今日も良い一日を!」

RRRRRRRR・・・・

占いが終了したとたん、携帯が鳴った。

「もしもし?」
「コホン、氷室だ。」
「えっ?零一さん?どうしたんですか、こんな朝早く・・・。」
「・・・今夜、予定は空いているか?」
「今夜、ですか?」
「そうだ。」
「特に、何もありませんけど。」
「ドライブをしようと思うのだが・・・。」
「私は大歓迎ですけど、また急ですね。何かあったんですか?」
「いや、何もない。単なる思いつきだ。気にしなくてよろしい。」
「わかりました。待ち合わせの時間は?」
「7時に、君の家に迎えに行く。遅れないように。」
「はい。楽しみにしてます。」

まさか、まさか。
このタイミングで電話をかけてきたって事は、零一さんも占いを見てた、って事?
TVは教育番組しか見ないんじゃないの?
たくさんの疑問符に囲まれながら一日をあわただしく過ごした。

そして夜。
まだ残暑のほてりの残る空気が肌にまとわりつく。
時間ぴったりに現れた零一さんは見るからに暑そうな冬物のスーツを着ている。

思わず吹き出しそうになるのをこらえながら車に乗りこむ。
やっぱり、見てたんだ。

「どうした?」
「零一さん、今日は何かいいことありましたか?」
「フム、まあまあだな。」
「信じるものは救われる、って訳ですね。」
「!!」



Fin


 



朝の占いコーナー、ついつい見ちゃうんですけど、たまたま先生の蠍座が最下位だったのでこんな話。
先生は占いを見たりするのか、って考えたんですが、無駄だ、って言って見なそうな気もするし、
気になってしょうがない人のような気もするし、やはり先生はわからない人です・・・。
でも、スマイルの件もあるし、実はなんでも鵜呑みにしそうなところがかわいいと思うんですよねーvv



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