一期一撃

とある日曜日。
私の自慢の生徒であると社会見学のため
駅前広場で待ち合わせをしている。

現在午前9時半。待ち合わせの時間は10時だ。
彼女が時間より前に来ることが滅多に無いとわかってはいても
自宅でじっとしていることができず、ここに来てしまった。
もし彼女が時間より早くここに来たとしても、予定時間にしか
動くつもりはないのに、自分でもどうかしている・・・。

普段通りでない自分に戸惑いながら、今日一日のスケジュールを
頭の中で反復していると、

「ドスン」

何かがぶつかった。

振り返ると高校生位の青年が立っている。
どうやらはばたき学園の生徒ではないようだ。

「・・・・・・・・・・・・・・」
「なんだ?君は。」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「ぶつかっておいて謝罪の言葉はないのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・」

青年はじっと私の顔を見つめている。
その視線には敵意にも似た鋭さを感じるが、その顔には見覚えが無い。
一度会った人間の顔を忘れたことはないのだが。

「私に何か用なのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「何か言いたまえ。」
「・・・・・あなたは、の・・・」
「?!」
「ナンデモナイ、ですっ!」
「痛っ!おい!待ておまえ!」

あっという間に青年は駆け出していった。
私の靴の上にくっきりと靴跡を残して。

「・・全く、どういう教育をされているんだ。不愉快きわまりない。
うちの生徒だったら反省文100枚提出のところだ・・・。」

憤慨しつつ、汚された靴を拭こうと屈み込んだとき、ある思いが去来した。

「・・・あいつは、誰だ?」

少なくとも私の知る範囲にはいない人物。
しかし彼はどうやらを知っているらしい。
転入前の彼女の友人かとも思ったが、彼女の前の住所ははばたき市からはかなり遠い。

では、誰だ。
あんなふうに俺を見つめる理由は?
まさか、彼女の・・・?

屈んだ姿勢のまま思いを巡らせていると、彼女が現れた。

「先生?どうしたんですかそんな格好で?」
「ああ、。いや、ちょっとな」
「何かあったんですか?怖い顔して。」
「・・・あいつは誰だ?」
「えっ?」
「・・コホン、君には、青い髪の男の知り合いがいるか?」
「青い髪?いいえ、思い当たりませんけど。」
「それは確かか?」
「はい。」
「そうか、よろしい・・。忘れたまえ」
「変な先生。急に嬉しそうな顔になったりして。」

彼女の言葉に嘘がないとすれば、彼は彼女にその存在を知られていない。
彼の態度から想像するに彼は彼女に思いを寄せているが、現状ではその成就には
ほど遠いと思われる。つまり、私の障害にはならない、ということだ。
ただでさえ困難の多いこの状況に、これ以上の障害があってはたまらない・・・。
靴の汚れぐらい、許してやろう。

「そんなことはない。さあ、出発しよう。」
「先生、まだ予定まで10分ありますけど?」
「・・・・」
「どうしたんですか?」
「・・コホン、今日は早めに行動する。行くぞ。」

全く、どうかしている。



Fin


 



VS蒼樹千晴くんです。まったく接点がないはずの二人なのでどうやって書こうかな、って悩んだのですが
こんな話になってしまいました。ちはるんの描写がまったくできてないですね(^-^;)
ちはるん狙いでプレイしていたとき暇に任せて勉強ばっかりしていたらパラが上がりすぎて
先生エンドになったので、私にとってちはるんは先生エンドの延長上にある感じなんですよね。
今回扱い悪すぎなのでいつかちはるんのお話を書いてみたいと思っています。(いつだよ)



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